フランスのクリスマス

前編

Bonjour. 今日はフランスのクリスマスについて話しましょう。

日本とフランスのクリスマスの違い

フランスでも日本同様そろそろクリスマスがやって来ます。フランスでも日本でもクリスマスはとても人気のイベントです。しかしながら、2つの国におけるこのイベントの持つ意味合いはかなり違っています。

日本ではキラキラした飾りイルミネーション、街中の大きなツリーでクリスマスの雰囲気を存分に味わうことができます。しかし24日も25日も仕事をし、いつもどおり過ごします。
さらに25日が過ぎてしまえば、街角の飾りは全て片付けられ、次は年末年始の飾りが登場します。
なんと忙しないのでしょう!

フランスにおいては24日と25日はとても大切な日として位置付けられています。

パリのシャンゼリゼ通りの夜景

まず24日はクリスマスのレヴェイヨン(クリスマスイブの真夜中に取る祝いの食事およびそのお祝い)の準備をします。祭日となる翌日25日は家族みんなで過ごします

そして25日が過ぎてもクリスマスの熱は冷めません。大体、1月6日の公現祭の頃までこの雰囲気を味わうことができます。
1月6日の公現祭についてもっと知りたかったらこちらへ ↓
>>ガレット・デ・ロワ

では、フランスではどのようにクリスマスを過ごすのか、どんな習慣があるのかちょっと覗いてみましょう。
日本とはちょっと違うなと、お分りいただけると思います。

ノエル

まず、フランスでは「クリスマス」とは言わず、「ノエル 」と言います。「ブッシュ・ド・ノエル」のノエルです。

Joyeux Noël

クリスマスは、神の子イエス・キリストの誕生を祝うキリスト教のお祝いに由来しています。
そしてフランス語の「ノエル」は《誕生の》、《誕生に関係する》という意味のラテン語の《natalis》から派生しています。
英語の「クリスマス」も同様、イエスの誕生を意味しています。

神の子イエス・キリストの誕生

クリスマスは24日ではなく25日の0時に祝うものです。
日本では混同されていますが、24日はレヴェイヨンの準備のための日です

さらにこの日は多くの子供たちが待ち焦がれている日でもあります。
それはもちろん、たくさんのプレゼントを届けるサンタクロースがやって来るからですね。
この日のために準備することが、実はたくさんあるのです。

町の変化のクリスマス

日本ではきらびやかなクリスマスイルミネーションが大人気です。
渋谷や恵比寿、丸の内、そしてフランス語学校レグザゴンのある原宿・表参道でもイルミネーションを見ようとたくさんの人が集まってきます。

こうした華やかなイルミネーションは都心など人気のある限られた地域でしか見ることはできません。
フランスではクリスマスが近づくと、町だけでなく小さな村でも飾り付けをします

市役所、区役所の正面は暖かい光のランプが飾られ、大きい広場の中心には大きく威厳のあるもみの木が鎮座します。
大通りの木にもランプが吊るされ、小さな通りにも素敵なイルミネーションが輝きます。

クリスマスシーズンのフランスの広場

パリのギャラリーラファイエットプランタンを始めとするデパートのショーウィンドーも、クリスマスの買い物をしている人の目を引くよう豪華なクリスマスの飾りで彩られます。
人や動物を模した電動のからくり人形を展示するショーウィンドウなんかもあります。一見の価値有りです!

クリスマスシーズンのギャラリー・ラファイエットの様子
クリスマスシーズンのショーウィンドウの様子

クリスマスのこの時期、たくさんの町でマルシェ・ド・ノエルと呼ばれるクリスマスマーケットが見られます。ここでは家やツリーを飾るための雑貨が揃っています。また、その地方の名物やお菓子などを味わうこともできます。

エッフェル塔の前のあるマルシェ

このマルシェこそが、大人にとっても子どもにとってもクリスマスの醍醐味と言えます。
最も有名なマルシェ・ド・ノエルの1つがストラスブールの町のものです。
フランスの北東に位置するとても寒い地域のため、お出掛けになる際は厚めのコートをお忘れなく。

ストラスブールのマルシェドノエル
ストラスブールの夜の街に浮かぶ天使たちのイルミネーション

クリスマス期間中の家の雰囲気

町だけでなくそれぞれの家もクリスマスを迎えるための飾り付けが施されます。
クリスマスカラーといえば昔から赤と緑です。かつては、キリストを意味するモチノキや幸福をもたらすヤドリギ、愛情を象徴する蔦と友情の象徴であるローズマリーなど自然の植物で家を飾りました。

クリスマス期間中の家の雰囲気

今は家族みんなで色鮮やかなオーナメントリースで飾り付けをします。窓もシールを貼って(日本では100円ショップでも売っていますよね。)、もちろんツリーも綺麗に飾ります。

もみの木のクリスマスツリー

クリスマスツリーの発祥は、昔から市役所や教会をもみの木で飾っていたアルザス地方と言われています。クリスマスの前夜には教会の前で色々な催しが行われ、天国の象徴とされるリンゴで飾られたもみの木の周りで皆で踊ったりしました。

クリスマスのパリのノートルダム

こうした風習はアルザス地方からヨーロッパ全土にあっという間に広まりました。そしてついにツリーは各々の家でも置かれるようになりました。
まず、その幹にクリスマスを代表する果物のリンゴが打ち込まれたもみの木を天井から吊るし、それから砂をたくさん入れた桶に移します。これを揺らして動かし、お菓子やおもちゃを落とす、というものでした。
現在はプレゼントをそっと見守るように置かれています。

プレゼントを見守るクリスマスツリー

一般的には12月の初め、もしくはクリスマスの数日前までに購入します。
そしてクリスマスが過ぎた後、1月6日の公現祭まで飾ったままにしておきます。

ツリーは家族みんなで選び、子供にとっては大きな楽しみの一つでもあります。
フランスでは本物のもみの木をスーパーや街角で簡単に買うことができます。大きさも様々で、庭のある家ならばそこに植えるために根の張った状態のものを見つけることもできます。

環境保全や経済的な理由、面倒な後処理の問題からイミテーションのツリーを好む人もいます。

花屋さんで売っているもみの木

かつてはツリーは果物(特にリンゴ)で飾られていましたが、次第にキャンディーやお菓子、オーナメントも飾るようになりました。
今もキリスト教を彷彿させるようなガラス玉天使の飾りを付けたりします。さらにはアニメのキャラクターの飾りなんかも。時代は変わりましたね。

クリスマスツリー

クレッシュ・ド・ノエル

クリスマスツリーの根元にクレッシュ・ド・ノエルを飾る家もあります。クレッシュというのはイエス・キリストの誕生のシーンを表現した模型です。クリスマスがイエスの降誕を祝うものであることを忘れないため作ります。
馬小屋の模型の中に小さな赤ん坊のイエス、母マリア、父ヨセフを置き、その周りに牛やロバ、羊飼いなど、誕生時に居合わせたものを配置します。これらはサントン人形と呼ばれる素焼きの土でできた人形です。

クレッシュ・ド・ノエル

多くの教会や大聖堂でも毎年新たなクレッシュが登場します。時には本物の人間が演じているものもあり、伝統的なものから現代的なものまで様々です。

アドベントカレンダー

お菓子が大好きな子供たちのためにアドベントカレンダーを用意する家もあります。
ドイツが起源のアドベントカレンダーはクリスマスまでの日数1から24まで仕切られそれぞれに扉がついたカートン製の箱です。

毎日1つずつその日の日付と同じ数字の書かれた扉を開けると、中にはチョコレートやキャンディーが隠れています。毎日ワクワクしながらクリスマスのその日を待ちます。

手作りのアドベントカレンダー

最近では日本の輸入食品のお店(カルディコーヒーや成城石井など)で簡単に買い求めることができるようになりました。凝ったアドベントカレンダーを手作りする人もいます。

アドベントカレンダー

クリスマスイブはどんな風に過ごして、どんなごちそうを食べる?
クリスマスの定番ケーキ、ブッシュ・ド・ノエルって何?フランスのサンタクロースと日本のサンタクロースは同一人物?など、次回は皆さんが疑問に思っていることについてお話しします。続きはこちらです↓
>>フランスのクリスマス – 後編

À bientôt ! コメント、質問がありましたら、レグザゴンのSNSでお気軽に聞かせてください。

フランスのクリスマス

前編

Bonjour. 今日はフランスのクリスマスについて話しましょう。

日本とフランスのクリスマスの違い

フランスでも日本同様そろそろクリスマスがやって来ます。フランスでも日本でもクリスマスはとても人気のイベントです。しかしながら、2つの国におけるこのイベントの持つ意味合いはかなり違っています。

日本ではキラキラした飾りイルミネーション、街中の大きなツリーでクリスマスの雰囲気を存分に味わうことができます。しかし24日も25日も仕事をし、いつもどおり過ごします。
さらに25日が過ぎてしまえば、街角の飾りは全て片付けられ、次は年末年始の飾りが登場します。
なんと忙しないのでしょう!

フランスにおいては24日と25日はとても大切な日として位置付けられています。

パリのシャンゼリゼ通りの夜景

まず24日はクリスマスのレヴェイヨン(クリスマスイブの真夜中に取る祝いの食事およびそのお祝い)の準備をします。祭日となる翌日25日は家族みんなで過ごします

そして25日が過ぎてもクリスマスの熱は冷めません。大体、1月6日の公現祭の頃までこの雰囲気を味わうことができます。
1月6日の公現祭についてもっと知りたかったらこちらへ ↓
>>ガレット・デ・ロワ

では、フランスではどのようにクリスマスを過ごすのか、どんな習慣があるのかちょっと覗いてみましょう。
日本とはちょっと違うなと、お分りいただけると思います。

ノエル

まず、フランスでは「クリスマス」とは言わず、「ノエル 」と言います。「ブッシュ・ド・ノエル」のノエルです。

Joyeux Noël

クリスマスは、神の子イエス・キリストの誕生を祝うキリスト教のお祝いに由来しています。
そしてフランス語の「ノエル」は《誕生の》、《誕生に関係する》という意味のラテン語の《natalis》から派生しています。
英語の「クリスマス」も同様、イエスの誕生を意味しています。

神の子イエス・キリストの誕生

クリスマスは24日ではなく25日の0時に祝うものです。
日本では混同されていますが、24日はレヴェイヨンの準備のための日です

さらにこの日は多くの子供たちが待ち焦がれている日でもあります。
それはもちろん、たくさんのプレゼントを届けるサンタクロースがやって来るからですね。
この日のために準備することが、実はたくさんあるのです。

町の変化のクリスマス

日本ではきらびやかなクリスマスイルミネーションが大人気です。
渋谷や恵比寿、丸の内、そしてフランス語学校レグザゴンのある原宿・表参道でもイルミネーションを見ようとたくさんの人が集まってきます。

こうした華やかなイルミネーションは都心など人気のある限られた地域でしか見ることはできません。
フランスではクリスマスが近づくと、町だけでなく小さな村でも飾り付けをします

市役所、区役所の正面は暖かい光のランプが飾られ、大きい広場の中心には大きく威厳のあるもみの木が鎮座します。
大通りの木にもランプが吊るされ、小さな通りにも素敵なイルミネーションが輝きます。

クリスマスシーズンのフランスの広場

パリのギャラリーラファイエットプランタンを始めとするデパートのショーウィンドーも、クリスマスの買い物をしている人の目を引くよう豪華なクリスマスの飾りで彩られます。
人や動物を模した電動のからくり人形を展示するショーウィンドウなんかもあります。一見の価値有りです!

クリスマスシーズンのギャラリー・ラファイエットの様子
クリスマスシーズンのショーウィンドウの様子

クリスマスのこの時期、たくさんの町でマルシェ・ド・ノエルと呼ばれるクリスマスマーケットが見られます。ここでは家やツリーを飾るための雑貨が揃っています。また、その地方の名物やお菓子などを味わうこともできます。

エッフェル塔の前のあるマルシェ

このマルシェこそが、大人にとっても子どもにとってもクリスマスの醍醐味と言えます。
最も有名なマルシェ・ド・ノエルの1つがストラスブールの町のものです。
フランスの北東に位置するとても寒い地域のため、お出掛けになる際は厚めのコートをお忘れなく。

ストラスブールのマルシェドノエル
ストラスブールの夜の街に浮かぶ天使たちのイルミネーション

クリスマス期間中の家の雰囲気

町だけでなくそれぞれの家もクリスマスを迎えるための飾り付けが施されます。
クリスマスカラーといえば昔から赤と緑です。かつては、キリストを意味するモチノキや幸福をもたらすヤドリギ、愛情を象徴する蔦と友情の象徴であるローズマリーなど自然の植物で家を飾りました。

クリスマス期間中の家の雰囲気

今は家族みんなで色鮮やかなオーナメントリースで飾り付けをします。窓もシールを貼って(日本では100円ショップでも売っていますよね。)、もちろんツリーも綺麗に飾ります。

もみの木のクリスマスツリー

クリスマスツリーの発祥は、昔から市役所や教会をもみの木で飾っていたアルザス地方と言われています。クリスマスの前夜には教会の前で色々な催しが行われ、天国の象徴とされるリンゴで飾られたもみの木の周りで皆で踊ったりしました。

クリスマスのパリのノートルダム

こうした風習はアルザス地方からヨーロッパ全土にあっという間に広まりました。そしてついにツリーは各々の家でも置かれるようになりました。
まず、その幹にクリスマスを代表する果物のリンゴが打ち込まれたもみの木を天井から吊るし、それから砂をたくさん入れた桶に移します。これを揺らして動かし、お菓子やおもちゃを落とす、というものでした。
現在はプレゼントをそっと見守るように置かれています。

プレゼントを見守るクリスマスツリー

一般的には12月の初め、もしくはクリスマスの数日前までに購入します。
そしてクリスマスが過ぎた後、1月6日の公現祭まで飾ったままにしておきます。

ツリーは家族みんなで選び、子供にとっては大きな楽しみの一つでもあります。
フランスでは本物のもみの木をスーパーや街角で簡単に買うことができます。大きさも様々で、庭のある家ならばそこに植えるために根の張った状態のものを見つけることもできます。

環境保全や経済的な理由、面倒な後処理の問題からイミテーションのツリーを好む人もいます。

花屋さんで売っているもみの木

かつてはツリーは果物(特にリンゴ)で飾られていましたが、次第にキャンディーやお菓子、オーナメントも飾るようになりました。
今もキリスト教を彷彿させるようなガラス玉天使の飾りを付けたりします。さらにはアニメのキャラクターの飾りなんかも。時代は変わりましたね。

クリスマスツリー

クレッシュ・ド・ノエル

クリスマスツリーの根元にクレッシュ・ド・ノエルを飾る家もあります。クレッシュというのはイエス・キリストの誕生のシーンを表現した模型です。クリスマスがイエスの降誕を祝うものであることを忘れないため作ります。
馬小屋の模型の中に小さな赤ん坊のイエス、母マリア、父ヨセフを置き、その周りに牛やロバ、羊飼いなど、誕生時に居合わせたものを配置します。これらはサントン人形と呼ばれる素焼きの土でできた人形です。

クレッシュ・ド・ノエル

多くの教会や大聖堂でも毎年新たなクレッシュが登場します。時には本物の人間が演じているものもあり、伝統的なものから現代的なものまで様々です。

アドベントカレンダー

お菓子が大好きな子供たちのためにアドベントカレンダーを用意する家もあります。
ドイツが起源のアドベントカレンダーはクリスマスまでの日数1から24まで仕切られそれぞれに扉がついたカートン製の箱です。

毎日1つずつその日の日付と同じ数字の書かれた扉を開けると、中にはチョコレートやキャンディーが隠れています。毎日ワクワクしながらクリスマスのその日を待ちます。

手作りのアドベントカレンダー

最近では日本の輸入食品のお店(カルディコーヒーや成城石井など)で簡単に買い求めることができるようになりました。凝ったアドベントカレンダーを手作りする人もいます。

アドベントカレンダー

クリスマスイブはどんな風に過ごして、どんなごちそうを食べる?
クリスマスの定番ケーキ、ブッシュ・ド・ノエルって何?フランスのサンタクロースと日本のサンタクロースは同一人物?など、次回は皆さんが疑問に思っていることについてお話しします。続きはこちらです↓
>>フランスのクリスマス – 後編

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